大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)294 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人弁護士加嶋五郎、同吉沢弘行の上告理由第一点について。

しかし、原判決の判示しているように、甲第二号証(記録一五〇丁)によれば、

東京都新宿区a町b丁目c番地D株式会社は、昭和三一年一〇月三日現在(後記本

件手形の振出日および後記本件訴状送達の日参照)東京法務局新宿出張所の登記簿

上見当らないし、また、乙第二号証(記録九二丁以下)によれば、板橋区d町e丁

目f番地を本店とする株式会社Eが昭和二七年九月四日設立されたが東京都新宿区

a町b丁目c番地Aがその代表取締役に初めて就任したのが本件訴状送達の日たる

昭和三〇年三月一六日以後である同年五月一〇日であつて、ついで、同月一六日商

号を本件D株式会社と変更して、同日その旨登記したが、本店を新宿区a町b丁目

c番地に移転した旨の登記はなされなかつたことが明らかである。されば、以上の

事実関係の下において、本件約束手形の振出当時(昭和二九年一一月一〇日)にお

いては、その振出人欄に記載されたD株式会社なるものは法律上存在しない会社で

あり、控訴人Aがその取締役社長として振出人欄に署名してもその代表資格による

記載は無意味であつて、控訴人Aが個人として本件約束手形を振出したものと認め

るのが相当である旨の原判決の判断は、結局正当であると認める。それ故、所論は

採ることができない。

同第二点について。

しかし、被告らが原告主張の請求原因事実はすべてこれを認める旨陳述したこと

は、記録上明白であつて、これをもつて所論のごとく法律上の意見を述べたものに

過ぎないとは認められない。所論引用の判例は、本件に適切でない。されば、所論

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も採ることができない。

上告人らの上告理由について。

所論は、原審の裁量に属する証拠の取捨、判断を非難し、原審が適法になした事

実の認定を争うものに帰し、上告適法の理由として採ることができない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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